8)11月22日に医療用肥満症治療薬が薬価収載へ!

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● この商品は『GLP-1受容体作動薬』で、既に2型糖尿病治療薬として販売されているものと同一成分ですが、別の効能として、GLP-1受容体を介して、脳における食欲の調節機構に作用して、食欲を抑える効果、さらに、胃腸の動きを弱めて満腹感を持続させる働きがある事が分かり、肥満症患者さんに対する医療用の『肥満症治療薬』として、今年の3月に承認が得られ、この度、薬価の収載が行われました。

● 国内では、2型糖尿病治療薬として販売されている『GLP-1受容体作動薬(インスリンの分泌を促して血糖値を下げる働きがある)』は4社、『GIP/GLP-1受容体作動薬』が1社から販売されています。また、今回のような肥満症治療薬として、『GLP-1受容体作動薬』関連薬剤の開発を進めている会社が数社あります。

● ところで、現在、国内外で『GLP-1受容体作動薬』の供給不足が広がっていて、糖尿病患者さんへの治療に影響が生じ得る事が懸念されています。
● 主な原因は、これらの薬剤の対する需要の高まりに対し、各製薬会社の生産が追いつかない事によると言われ、今年の3月から、出荷停止や限定出荷となり、厳しい状況に置かれています。
● また、これに加えて、国の承認を取得している効能効果である「2型糖尿病」ではなく、適応外使用(自由診療)として、一部の美容クリニック等において「美容、痩身、ダイエット」の目的で、このタイプの薬剤の処方が盛んに行われている事から、薬剤の供給量不足にさらにダメージを与えていると言われています。
● 結果として、糖尿病患者さんの治療への影響が出始めているようです。

● さらに、『GLP-1受容体作動薬』の副作用に関し、糖尿病専門医は、これらの薬剤に対する使用経験が十分にあるため、発現するとしても、便秘、吐き気、嘔吐、下痢などの消化器症状の副作用が出る位で、大きな問題は生じてないようです。
● しかしながら、『GLP-1受容体作動薬』の添付文書には、重大な副作用として、「低血糖(本系統の糖尿病治療薬の単独使用では殆ど発生しないと言われている)」、「急性膵炎」、「胆嚢炎、胆管炎、胆汁うっ滞性黄疸」の他、アナフィラキシー、血管浮腫等が記載されています。
●『GLP-1受容体作動薬』の使用経験が浅い医師が、「美容・痩身・ダイエット」目的で、これらの薬剤を患者さんに安易に処方すれば、思わぬ『健康被害』が生じる事も起こり得ると予想されます。
● 厚生労働省も糖尿病ではないヒトへの本剤の投与は、有効性、安全性等が確認されていないとして注意喚起をしています。

結論

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